倫理の話

宗教篇 その5

古代インド

インドの思想と文化の元を作ったのは、中央アジアから南下してきたアーリア人でした。彼らは先住民族(インダス文明を築いた人々と考えられる)を征服しインド社会にカースト制度をつくり支配層となりました。各カーストは細分化していて、その数は2000とも3000とも言われ、今日まで続いています。

バラモン=司祭階級、クシャトリア=王族、ヴァイシャ=庶民、シュードラ=奴隷階級

カーストの最上位に位置したバラモンが支配した宗教を、西洋人はバラモン教と名付けました。このアーリア人の宗教は、さまざまな「ヴェーダ」を聖典として持っていました。バラモン教は、さまざまな神が信じられている多神教です。

ヴェーダ

アーリア人の「ヴェーダ」は本来「知識」という意味であり、膨大な量の思想・宗教などの内容を持った文献です。それぞれのヴェーダは一般に4種類の内容から成っています。

「サンヒター」は神々をたたえる歌(讃歌)や祭りで唱えられる祈りを収めたもの。

「ブラーフマナ」は「祭儀書」と訳される、祭りの手順や祈りの言葉の意味の解釈をしたもの。

「アーラニヤカ」は「森林書」と訳される、祭りや思想についての秘密の説。こうした秘密は人里離れ森の中で教えられるべきであるから。

ウパニシャッド」は「奥義書」と訳される、秘密の哲学思想説。ウパニシャッドには仏教成立以前の古いものから、比較的新しいものまで様々ある。

教義

宇宙の元にある不変の原理はブラフマン(=梵)と呼ばれ、我々の本質であるアートマン(=我)と等しいとされます。これを梵我一如(ぼんがいちにょ)と言います。

古代ギリシアのピュタゴラス派と同じく、彼らも「輪廻転生」を信じていました。人の行為とその結果もたらされた事をカルマ(=業、ごう)と言います。前世におけるカルマの結果現世があり、現世の行為によって来世が決まると彼らは考えていました。こうした考えを「因果応報」と言います。あるいは自らの業を自ら受ける事から「自業自得」とも言います。輪廻から抜け出す(=解脱、げだつ)ためには、アートマンがブラフマンと一体であるという真理を得なければなりません。

ジャイナ教

ジナ(勝利者)とかマハーヴィーラ(偉大な英雄)と称されるヴァルダマーナが開いたのがジャイナ教です。ジャイナ教は仏教とほぼ同時期、同地域に起こった宗教ですが、思想内容にも似ている点が多く見られます。

ジャイナ教は厳格な戒律を持ち、断食などの苦行を通じて解脱ができると説いています。また生き物を殺してはならない(=不殺生)とされました。

ヴァルダマーナを始め、この時期に一般の社会生活を捨てて出家し、人里はなれた場所で苦行に励む自由思想家達の事を、仏教の立場から六師外道(ろくしげどう、主な思想家六人を指して)と呼びます。


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©SAITO Toshiyuki