倫理の話

西洋思想篇 その10

エピキュロス派

アテナイに「エピクロスの園」を創設したEpikouros(BCE.341-270)に始まるエピクロス派の思想の根本は原子論的自然観である。彼の著作の多くは失われたが、手紙の他に幾つかの断片が伝わっている。またローマの詩人ルクレティウス(Lucretius,BCE.99-55ca)の残した『自然の本性について』(De rerum natura)によっても知ることが出来る。

彼によると快楽こそが最高善であり、しかし瞬間的で感覚による快は後に苦をもたらす事になる。真の快とは苦痛をもたらさない状態であり、魂の安らぎ=アタラクシア(ataraxia)がそれである。

アタラクシアとは、心がかき乱されていない穏やかさである。ストア派が宇宙のロゴスと自らの内なるロゴスの合致という積極的主張をしているのに対して、エピクロス派は、神や運命が我々の生活に関わる事をしりぞけることによって、魂の平静を得ようとする。

彼らは「隠れて生きる」という有名な主張にしたがって、「エピクロスの園」に引きこもり、静かな生を送ろうとするのである。


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大学の「倫理学」目次はさらなる世界へのドアー西洋思想の源流から見る倫理学



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©SAITO Toshiyuki