イオニア哲学2

タレース2

ディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシア哲学者列伝』によると、タレースは初め政治に関わり後に様々な分野で活躍したと言われている。星座の「小熊座」を発見したのは彼であり、天文学の分野での活躍が知られている。

彼が日食を予言してミレトスの人々を驚かせたとか、直角三角形に内接する円を描いてみせたといった話もその一端であろうか。また月が明るいのは太陽の光を反射しているからだとか、二等辺三角形の底辺の両端角が等しい事を語り、またピラミッドの高さを手許の杖が作る影の長さから計算したといった話も伝わっている。

彼の言葉のうち最も広く知られているのが、「万物の始原は水である」という言葉であろう。また宇宙は命を持っていて、神々に満ちているというのが、次に知られている。魂が不死であると言った最初の人だとも言われている。

石でさえも「生きている=自分で動く」事を証明するために、マグネシアの石と琥珀をこすって磁力(もしくは静電気か?)を発生させる実験をしたという話もある。

そして何よりアリストテレスによって「哲学の祖」(983b20-21)と言われている。

しかしH.DielsとW.Kranzが編集したDie Fragmente der Vorsokratiker(DKと略される)『ソクラテス以前の哲学者断片集』によると、著作ののうち真正断片に分類されるB断片に、「水」に関する記述はない。しかし彼がそういった事を言っていない訳ではなさそうで、アリストテレスを始めとする人々がその教説をタレースに帰している。

『形而上学』の中でアリストテレスは、タレースがそう主張した理由として、「あらゆるものの栄養となるものが湿っている事、熱そのものさえ湿ったものから生じた」点を推測している。そして大地は水の上に浮いているとタレースが主張していたと考えている。

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