イオニア哲学4

アナクシマンドロス2

あらゆるものの始原は、そこからあらゆるものが生ずるのだから、そのもとになっているものが何らかのものであってはならない、という理由でこのように考えたのかも知れない。ト・アペイロンから「この宇宙の全て」が生まれると彼は考えたのであるから、その中には「生物」も当然含まれる。この点に関わる断片を挙げておこう。

「・・・はじめ人間は異種の生物から生まれたとも言っている。他の生物は生まれるとすぐに自力で育つようになるが、人間だけは長期にわたる養育を必要とし、そうしたものであるから、最初は決して生き続けられなかっただろう」(断片番号A10)

「最初の生物は刺のある薄皮をまとって湿ったものの内に生まれ、歳を重ねるに従って、より乾いた場所へと進み出たが、薄皮が破れると、短い期間しか生きられなかった。」

「熱せられた水と土の中から、魚または魚に似た生き物が生まれたと考えた。人間はこの生き物たちの中で生まれ、成長するまで中に守られて育てられたのであり、それが分かれて、男と女が現われ初めて自生できるようになった。」

「・・・最初の人間は、鮫のように、魚の体内で生まれ育てられ、十分自生できるようになると、はじめて外に出て陸地に上がった。」(以上三つA30)

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