Very Short Introduction to

Harley-Davidson


基礎となる数値 US Japan
長さ インチ 2.54 センチ
面積 平方インチ 6.4516 平方センチ
体積 立方インチ 16.387 立方センチ
エンジンの主な名称
ビッグ・ツイン 生産年 由来・概要
ナックルヘッド
Knuckleheads
1936〜47 エンジンのヘッド部(バルブを駆動するロッカーアームやバルブスプリングを覆うカバー=ロッカー・カバー。それ以前は剥き出しだった。)が、握り拳=ナックルに似ている事から。エンジンをライダーの右足側から見ると、ごついロッカー・カバーが正に握り拳のよう。正式には E 型という。
パンヘッドPanheads 1948〜65 オイル消費の多さからナックルに変わって登場した戦後の設計。シリンダーは鉄製だかヘッド部はアルミ。なんと油圧式バルブリフターを実現していた。ロッカー・カバーが、フライパンをひっくり返した形に似ているのでこう呼ばれる。
ショベルヘッド
Shovelheads
1966〜84 ようやくロッカー・カバーではなくロッカー・ボックスになった。そこが鉱山で使われるショベルの柄に似ている事から、こう呼ばれる。60 年代製のキック・スターター式を「アーリー・ショベル」と呼ぶこともある。これはジェネレーター搭載。70 年代になってオルタネーター(交流発電機)を搭載し、キックは省かれた。

エボリューション
Evolution
ツインカム88B
TWIN-CAM88B
1984〜 新開発の現代的「進化=エボリューション」エンジン。エンジンのヘッドがブロックに似ているからブロックヘッドと呼ぶ人もいるが、会社の正式名はエボリューション。
ツインカム 88 は現行の改良型エボリューション。
主な型式
ここでいう型式は、エンジンの基本形であり、”ナックル”でも 74(F)があり、”パン”でも61(E)がある。
型式 生産年 概要
E
EL
ES
(以上1000cc)
F
FL
FS
(以上1200cc)
1936〜47
ナックル
排気量が61立方インチ=1000cc の 45 度Vツイン、ボア 3.31インチ(84ミリ)、ストローク3.5インチ(89ミリ)。20年代のJモデル(単気筒)と数値は一緒。他社がサイド・バルブ(=形状からフラットヘッドとも言う)の頃に、OHV を採用した。電装系は 6V。それまでのオイル循環系は、手動で供給し、いわば垂れ流し式だったものを、今日いう所のドライサンプを採用した。
フレームはダブル・クレイドル、すなわちステアリングヘッドから2本のパイプが下に伸び、エンジンを抱えている。フロントサスペンションはガーターフォーク(スプリンガーという名で現代に復活)だが、リアはリジッド(サスなし)。これをサス付きの「ソフトテイル」に対して「ハードテイル」という。戦前のバイクの多くがハードテイルなのは、当時のリアサスが大した効果をもたらさなかったからである。代わってシート取り付け部には、スプリングとオイルダンパーからなるクッションがあった。
ミッションは4速。ただしハンドチェンジ。タンク左脇にレバーがあり、クラッチは左足で踏んだ。当時は4輪と同じこの方式が当然だった。
バリエーションとしてELとESがあった。Lは高圧縮比Sはサイドカー用のロー・ギア比モデル。
1941年まで作られたサイドバルブのフラットヘッドの方は、74 立方インチ(=1212cc、Vという)から80立方インチ(=1310cc、Uという)に拡大された。OHVモデルの方を74立方インチにしたのが、それぞれF、FL、FS。
EL
FL
FLH
1948〜65
パン
ナックルヘッドで問題だった、オイル消費の多さを解消すべく開発された新型のパン・ヘッド。オイルラインは内部に隠され、オイルポンプも増強された。ナックルではクランクケースの負圧を利用して、オイルをタンクに還流させていたのだ。上述のアルミ製ヘッドや油圧バルブ・リフター以外に、ロッカー・カバーがその名称の由来となったフライパンのような外観になった。
エンジン以外での変更は1948年の発表当初にはなく、まるで(しかしそれは誤りではあるが、外観はそのように見えた)それまでのナックルのヘッド部だけの改良のようであった。依然、左足クラッチ、左手シフトであったのだから。この方式は1951年まで続き、その後も注文出来たようだ。1000cc の 61 は 1951 年まで生産されたが、1200cc の 74 よりスムースであるという理由で生き延びた。
FLH は 1955 年に登場した。H の意味については諸説あるが、ハイ(何の?)なのか、ハイウェイなのかは定かではない。
FL
FLH
FLHS
FLHX
CLE
FLT
1966〜84
ショベル
ショベルヘッドの世代。後期のパンと初期のショベル(アーリー・ショベルと呼ばれ人気がある)には類似点が多い。また1965年から69年までの期間、大きなバッテリー付きがB、フット・シフトがF、高圧縮比がHという文字を付け加えて呼ばれた。これによって FLB、FLFB、FLHB、FLHFB といった長い名前のモデルが存在した。1970年にキック・スターターが廃止されると、こうした煩わしい名称も廃止された。従って初めからキックの付いているのは、60年代製の6Vの電装(直流発電機)であり、ジェネレーター・ショベルと呼ばれる。70年代製の 12V モデルはオルタネーター・ショベルという。この頃のモデルは、オルタネーターのおかげで幅が広がり、フット・ボードはコーナリング時に以前より早く接地した。工具箱はなく、センター・スタンドもなかった。ウインカーはボタンを押している間だけ点滅し、ステアリングのロックはなく、スロットルにはリターン・スプリングがなかった。シフトペダルはシーソー式であり、フットボードは強烈な振動で足を振り落とした。
基本形はFLとFLHであり、前者はポリス・モデルであった。警察用車輌は、巨大な風防とリア・タイア脇のFRP製サドル・バッグが標準装備された。それ以前は皮製やプラスティック製のサドル・バッグであったが、1966年モデルからFRPになった。これはハーレーの親会社、AMFグループにそうした製品を製造する企業が含まれていたからである。民生用にも1969年からハンドル・マウントのフェアリングと巨大なスクリーン付きモデルが用意された。またツアー・パックという名のオプションでは、リア・フェンダー上のラックに加えてリア・ケースが付けられる。
1978年、巨大化する車体とそれに伴う車重の増大に対処すべく、ボア、ストローク共に拡大され80立方インチ(1310cc)とされた。最初にこのエンジンが搭載されたのはFLH-80である。騒音規制に対応した巨大なエアークリーナー・カバーにも80という数字が示されているが、実際の排気量は82立方インチ(1340cc)である。74は1980年までで80に代わった。当初の圧縮比は8:1であったが、1981年以降は7.4:1に低められ無鉛ガソリンにも対応した。
FLHS はバッグなどを外したネイキッド・モデルであり、FLHX は豪華デラックスモデルである。
1979年に登場したのがサイド・カー付きのCLEである。キャスターはより立てられ、ギア比も下げられたモデルである。
FLT=1980年に発売されたツアー・グライド。その年の発売名はエレクトラ・グライド・クラシック(Electra Glide Classic)。名前の通り、長距離ツーリングに適した巨大クルーザー。ラバー・マウント(正確にはゴムではない振動吸収素材)されたエンジン、フレーム・マウントのカウル、チェーン・ケースなどを特徴としていた。エンジンは 82 立方インチ(1340cc)。フロント・フォークはステアリング・ステムの後ろに位置し、キャスター角も FL/FLH から変更された。その結果ステアリングは低速時により軽くなった。変速機は 5 段。ヘッドライトはデュアル、ブレーキ・ディスクの大型化、標準装備のバッグは大型化され、巨大な車重は、乾燥で 320キロを超え、燃料を入れると 360キロを超える程だった。この値は同時期の FLH(エレクトラ・グライド)より、20キロ程重い事になる。ちなみに当時の雑誌によるテストでは、0-400m 発進は 15 秒台だそうである。
FLT
FLHT
1984〜
エボリューション
V2 エボリューションのシリンダーは、合金に鉄のライナーが打ち込まれている。燃焼室も見直され、排ガス規制に対応すると共にオクタン価の低い燃料に対応した。点火系は電子制御となり、進角も二種類の曲線から自動で選択された。エボリューションの FLHT は新フレームとなり、5速ミッションと組み合わされた。
主な車名
名称 生産年 概要
ハイドラ・グライドHydra-Glide 1949〜 スプリンガー(ガーター・フォーク)に代わり、テレスコピック・フロント・フォークが採用され現代的になったモデル。ハイドラとはもちろんオイルダンパー入りのテレスコピック・フォークに由来する。
デュオ・グライドDuo-Glide 1958〜 スイングアーム式のリア・サスペンションで、左右に計2つのスプリングとオイルダンパーが付いていたモデル。2人乗りだからではない。
エレクトラ・グライドElectra Glide 1965〜 F(1200cc)モデルにセルフ・スターターが付いたモデル。それに伴い電装系も 12V に改められた。リア・サスと巨大なバッテリーのため、右サイドにあった工具箱が追い出され、今日に至るまで復活していない。
スーパー・グライドSuper Glide 1971〜 大型の FL とスポーツスターのXLを組み合わせて作られたのがFXであり、スーパー・グライドと名付けられた。フレームとリア・サスはFLから、フロント回りはスポーツスターからだ。よって燃料タンクは巨大な左右分割式であった。初代の FX スーパー・グライドはシートからリアフェンダーまで一体式のFRP製で、極めて珍重され、また高価である。
ロー・ライダーLow Rider 1978〜 FXにセルフ・スターターを付けたFXEのフロント・フォークを延長し、リア・サスを縮めたモデル。型式名はFXS。名前通りシート高は 700mm を僅かに切った。ホイールはキャスト、フロントにはダブル・ディスク・ブレーキ、リアもディスク。ハンドルは幅が狭く水平に近い。エンジンは74立方インチ(1212cc)で、ギアは4速。当初、銀だけだった塗装は 78 年から黒と白が追加された。特徴はタンク上に縦に並んだスピードとタコ・メーター。
ツアー・グライドTour-Glide 1980〜 80立方インチ(1310cc)ショベルを積んだツーリングモデル。FL/FLH 系とはシャーシが異なり、エンジン・駆動系は緩衝材を介してフレームに3点保持され、ライダーへの負担(猛烈な振動)を減らした。
ワイド・グライドWide-Glide 1980〜 FXEF=ファット・ボブ(Fat Bob、ロー・ライダーのホイールをスポークにして、プルバックハンドルとしたモデル)のフロント・フォークの間隔を広げ、長さを延長し21インチ・タイヤを装備したモデル。後端の反り返ったボブ・フェンダーをリアに配置し、シフト・ペダルとリア・ブレーキ・ペダルは、ハイウェイ・ペグと呼ばれる足を投げ出した位置に前進して付けられた。いわゆるチョッパーを企業が製品化してしまったモデル。ロー・ライダーとは異なりメーターはFLH系のスピード・メーターのみ。
スタージスSturgis 1980〜 サウスダコタ州の有名なバイクミーティングが行われる地に因んで付けられた名前。単なるメダルビジネスではなく、1 次減速と 2 次減速にチェーンに代わってベルトが用いられたモデル。後のダイナ・シャーシ導入でもわかる通り、革新は常にスタージスからという戦略。ベルトへの変換は容易ではなく、クラッチはベルトの外側に張り出した。しかし 1 次減速のベルトは失敗だったらしく、以後用いられなかった。その交換にはプライマリー・ケースを割る必要があり、更にはクラッチ・スプリングまで外さねばならなかったからである。その外装が黒である他はロー・ライダーと同じである。
スポーツ・モデル
名称 生産年 概要
Kシリーズ
K, KH, KHK
1952〜56 クランクケースとギアボックスが一体化されたエンジン、左手によるクラッチ操作、右足によるギアシフト、左足リア・ブレーキ、テレスコピック・フロント・サスペンション、スイング・アーム式リア・サスペンションなど、近代的システムを取り入れた。ただし電装系は6Vでキックのみ、エンジンはボアは 69.85mm、ストロークは 96.85mm の 45 立方インチ(737.4cc )Wシリーズと同じサイド・バルブであった。この排気量は米国内のナショナル・チャンピオンシップの上限である 750cc に合致していた。当時は信頼性の面から、OHV よりサイド・バルブの方が(少なくとも H・D 社には)好まれたのであろう。そうした点を除くとイメージは子孫であるスポーツスターに似ている。180kg 程の車体を、30 馬力の出力で引っ張ったが、最高速は 130km/h に届かなかった。
Kを基に作られたのが、レーサーの KR である。エンジン内部のローラー・ベアリングがボール・ベアリングに変えられた。KとKRを合わせたようなKKというモデルが存在したらしいが、極少数生産されたに過ぎないようだ。
ボアはそのままに、ストロークを115.89mmに伸ばした54立方インチ(883cc、正直に換算すると884.9cc。)【 883cc が正しいのであろう。立方インチによる表記の方が切りの良い数値に略記されたものと思われる。】エンジンの他、フライホイール、クラッチ、バルブ、トランスミッションに改良を加えたのが、1954年に登場したKH。出力は38馬力(公称)最高速は 150km を超えた。KHKはカムやポート、ベアリングを KK 同様にレース仕様にしたモデル。KHK の方が売れた。
XLシリーズ 1957〜 KHにOHVエンジンを積んだモデル。Sportsterという名前を付けられたが、会社内の位置付けは小さなFLというものだった。Xはフラット・ヘッド(サイド・バルブ)のWに続く文字であり、Lは高圧縮比を表していた。排気量は883cc、ボアは3インチ(76.2mm)に縮められ、ストロークはKの96.85mmに戻された。初年度は16.6リッターのガソリンタンクが付けられていたが、翌年から8.5リットルの小さなもの(ピーナッツ・タンクと呼ばれる)に変えられた。発売の翌年58年には、バルブを拡大し圧縮比を9:1に上げたハイパワー・モデル=XLHが登場。XLCというモデルもあったようだが、有名なのは XLCH の方。XL が 40 馬力の時代に 55 馬力を出し、計算上の最高速は 196 キロに達した。CH はコンペティション・ホットの略とも言われたが定かではない。両車の違いは、XL/XLHにあったセルと、より低い XLCH のギア比が主なものだった。これらのモデルは、戦後アメリカに輸入されたトライアンフや BSA といったイギリス車に対抗する性能を、求められたのである。
1971年から湿式クラッチとポイント式点火装置が採用された。72年にはボアを 3インチから 3.188インチ(80.98mm)に拡大して排気量を 1000cc にまで増加させた。これによって、出力は 61馬力にまで増えた。
XLTは文字通りツーリング・モデル。13.2リッター入りのタンクと分厚いシート、高いギア比等でツーリングを快適にした。
XLCR はカフェ・レーサー(CR)を気取ったモデル。15 リットル入りのレーサー風タンク、黒塗りされたマフラーやエアクリーナー・カバー、そして何より外観を印象付けるコックピット・カウル。イメージはXR-750からとって来たが販売は低調だったため、生産数が少なく今になって珍重されている。
XLS は豪華版の XLH とでも言えば良いのか、シーシー・バーやハイウェイ・ペグ、ツートーン・ペイントを特長としていた。公募で選ばれた愛称であるロードスター(Roadster)とも呼ばれる。XLHにショート・ショックを付けたモデルはハガー(Hugger)という愛称で呼ばれる。
廉価版のXLが XLX-61 である。
XR-1000 はAMAでのXR750の活躍をきっかけに発売されたレプリカである。2つのキャブは右側に位置し、マフラーは左側2本出しである。標準で 70 馬力のエンジンは XR-1000 を 0-400m を 12 秒台という速さで通過させ、チューニング・ガイドに従えば 100 馬力以上が得られた。
XLH-883XLH-1100 (後には 1200 に拡大)は、エボリューション・エンジンの載せられたモデル。XLX と同じくフロントは 19、リアには 19インチ・タイアを履いた。XLCH/XLCR は F19/R18。

Harley-Davidson Racer
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©SAITO Toshiyuki